投資家情報
経営戦略・中期経営計画
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経営基本方針
当社グループは、新たに策定したパーパス「Making the Image Intelligent」のもと、当社創業以来のユニークな強みである画像インテリジェンスの力により、現実世界の問題を解決し、ステークホルダーに価値をもたらす革新的な製品とサービスの創造に努めております。顧客課題、社会課題等の解決と収益・利益の獲得を両立させることにより、企業価値の向上を果たしてまいります。
中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題
世界的な社会・環境の大きなトピック・課題である「少子高齢化」、「気候変動」等に対して、その克服に社会や政界・経済界全体として取り組む機運が高まっています。当社グループは、これらの社会環境の変化をチャンスと捉え、社会・環境課題、顧客課題の解決に貢献することによって、利益を獲得し企業価値向上を実現することを、中長期的な経営戦略の基本方針としております。
1. 顧客製品・サービスの開発サイクル全体に亘る付加価値提供
企画から量産までの顧客製品・サービスの開発ライフサイクル全体に亘り、アルゴリズム、ソフトウエアから、当社の強みであるハードウエアまでの一貫開発体制をもって、IPコアライセンス事業、製品事業、プロフェッショナルサービス事業を展開、付加価値を提供することで、LTV(顧客生涯価値)の最大化を図ってまいります。また、顧客プロジェクトで培ったテクノロジー・ノウハウに基づく標準製品・サービスの開発・提供により、顧客開発に柔軟、迅速に対応するとともに、利益率の向上を図ってまいります。
2. 注力市場での取り組み
当社は、創業以来の強みであるグラフィックス技術を生かし、絶対的な市場規模を持つアミューズメント分野のキープレーヤーとして存在感を発揮しております。また、グラフィックス技術とそこから派生、涵養したAI(人工知能)・ディープラーニング技術を活用することで差異化が可能で、市場成長が期待でき、社会・環境課題解決にも貢献する、セーフティ分野、ロボティクス分野に注力しております。
a. アミューズメント分野
本分野は、遊技機市場の漸減傾向が続き、2020年にはコロナ禍の影響もあり、パチンコの販売台数は約90万台、パチスロの販売台数は約40万台まで落ち込みましたが、2022年は半導体不足の影響はあるものの、パチンコは約100万台、パチスロは約70万台まで回復しました。とりわけ、パチスロは、ゲーム性が向上した新規則6.5号機および2022年11月に導入が開始されたスマートパチスロ(スマスロ)の稼働が好調なことを受け販売台数が伸びています。スマスロは、物理的なメダルを使用せず電子情報で貸し出しすることが特徴であるため、効率的なプレーができ、かつ衛生的であることに加えて、不正予防や騒音軽減といったメリットもあり、タイトルの充実により更なる市場の活況が期待できます。
当社の画像処理半導体RS1は、従来別々の半導体を使用していた2Dタイトルと3Dタイトルの共通プラットフォーム化を実現し、さらには、遊技機向けに仕様を最適化したことで、複数の基板で構成された機能のワンボード化も可能にしております。これにより遊技機メーカーの課題である遊技機の製造コスト削減や、コンテンツ開発環境の統合によるタイトル開発コストの削減が可能になります。
当社は、このユニークな2D・3D統合チップであるRS1を引き続きスマスロを含むパチスロやパチンコ向けに量産出荷するとともに、その優位性を発揮できる市場セグメントにおけるシェア拡大を目指してまいります。
b. セーフティ分野
本分野は、改正道路交通法の施行やドライブレコーダー特約付き自動車保険の拡充等もあり、ドライブレコーダーを活用したリアルタイムの事故防止やヒヤリハット事象を活用した安全運転教育の需要が拡大しております。
当社においても、2021年3月期からランニングロイヤリティ収入やサブスクリプション収入を計上するなど、初期ライセンスやプロフェッショナルサービスの提供に加えて、リカーリングビジネスの展開が始まっております。当社は、クラウド(ZIA Cloud SAFE)からエッジ(ZIA SAFE)までの一貫サービスが提供できる競争優位性により、既存顧客案件の深耕と新規顧客への参入を果たし、マーケットリーダーを目指してまいります。
また、ドライブレコーダーの活用に留まらず、市場拡大が期待できるより広範なセーフティ領域である公共交通機関の危険検知・予知やスマートシティ関連(人の属性・流れ・数、危険検知・予知等)の分野において、エコシステムとの連携により、PoC案件の発掘・獲得から将来的な商用化時のビジネス獲得に備えております。
c. ロボティクス分野
本分野は、労働人口の減少を受け、製造業、運輸物流業、農業を始めとした様々な産業における省人・省力化、生産性向上の流れの中で、自律走行ロボットや協働ロボットの市場拡大が予想されています。
当社は、ロボティクス分野向けZIAシリーズとして、ローコストで環境変動に強いビジュアルSLAM(VSLAM)であるZIA SLAMとそれをベースにした自律運転のフルパイプラインであるZIA MOVE並びに高速かつ高精度な距離推定を実現するステレオビジョンIPであるZIA SVを取り揃えております。ロボット導入効果の高い製造業、運輸物流業、建設業、ビルの施設管理等向けのサービスロボットの開発においてAMR/AGVベンダーとの協業を進めてまいります。
協働ロボットの目の役割を果たすCambrianビジョンシステムのビジネスについては、精度、速度、ピッキング対象の広範さ、外乱光に対する堅牢性等の競合他社優位性が評価され、製造業を中心に販売、商談が拡大しており、また三品(食品、医薬品、化粧品)産業向けも引合いが活性化しております。今後は、顧客の組み立てラインへの導入を加速させ、ビジネス規模の拡大を図ってまいります。
3.持続的な競争優位性・成長の確保
注力分野であるセーフティ分野とロボティクス分野の強みの連携による付加価値向上を図ってまいります。ZIA SAFEとZIA MOVEの協調動作により、ZIA MOVEによるロボット自律走行中にZIA SAFEがリアルタイムで周囲監視を行い、危険事象の認識、マップへの各種情報の付加等を行います。加えて、ZIA Cloud SAFEのサービスにより、ビッグデータ解析による傾向分析や外部システムとの連携サービスの提供を目指してまいります。また、注力事業分野におけるサービスの競争力の強化・補完に資するM&Aや事業提携により、ノンオルガニックな成長も積極的に検討してまいります。